医療分野を例に挙げると、CTスキャンやMRIと呼ばれる技術を使えば、まるで人体を切断したかのような断面画像を観測することが可能です。このような手法を使うことで、各断面における臓器の形状や特定断面における人体内部の構造を観測することはできます。しかし、このような断面形状だけで臓器形状を立体的に理解するには、ある程度の経験と知識が必要なのは言うまでもありません。Forgeは断面として観測されたデータ群(二次元連続切片)から三次元形状を手軽に再構築して表示できるため、三次元画像による分かりやすいプレゼンテーションを容易に作成することができます。
コンピュータを使って二次元連続切片から三次元再構築を行うには、様々な手法が提唱されています。その代表的なものが「ボリュームレンダリング」と呼ばれる手法です。この手法は一般に、三次元的に見える画像の作成に重点を置いているため、形状自体を幾何的に定義するのが難しいという難点があります。これに対して、Forgeでは「アイソサーフェース生成」という手法を採用しており、二次元連続切片から三次元形状の幾何的データを自動生成します。生成された幾何データは三次元ポリゴン(多角形)の集まりとして定義されます。この三次元ポリゴンデータは、コンピュータグラフィックス分野で一般的に扱われるデータ形式なので、他の三次元CGソフトなどで更に処理することにより、結果的に形状の細部までを詳細に表現した美しいプレゼンテーションを作成することも可能です。
時間的かつ設備的な制約から、一般にスカラー場のデータ計測は一方向のみに関して行われます。しかし、実際問題として、特定の方向に計測された連続切片から別方向の断面図を想像するのは容易なことではありません。Forgeは、読み込んだ連続切片データを基に、本来の切片とは異なる方向の任意位置の断面を表示することができるため、スカラー場内部の様子を更に詳細に理解するための助けとなります。
Forgeの三次元ビュー表示にはOpenGLライブラリを採用しています。OpenGLライブラリは画面上に三次元画像を表示するための大変強力な機能を備えており、Forgeでは、再構築した三次元形状を任意方向に回転したり、自由に拡大・縮小して表示することが可能です。これら多くの三次元操作はマウスだけで簡単に行えるため、三次元の数学的な知識はほとんど必要ありません。更に、OpenGL対応のグラフィックスボードを使用することで、ワークステーション並みの描画レスポンスを期待することもできます。
Forgeはウィンドウズ上で動作するソフトウェアです。ウィンドウズのグラフィックス的な操作環境により、コンピュータの知識に乏しい方でも簡単に操作することができます。また、ウィンドウズ対応のプリンタをはじめ、ネットワークやバックアップ装置など様々な周辺装置も自由にお使いいただけます。従来のワークステーションを使った画像処理環境に比べて、大変安価に研究設備を構築することが可能です。